皆さまいかがお過ごしですか。

今年のイタリアは記録的な暑さ。
北部ミラノでも6月から30度を越える日が続き
8月は連日40度を越す激暑!

フランスではこの猛暑により3000人を超す死者が
でたという前代未聞の異常気象となりました。
私はこの夏イタリアからチュニジアに
旅行をしましたが、アフリカのほうが
凌ぎやすかったのには驚きました。

日本は涼しい夏だったと聞きましたが、
みなさまはいかがお過ごしでしたでしょうか?

今年のコレクション ヴェネツイアより愛をこめてーDA VENEZIA CON AMORE を 
もうご覧いただけましたでしょうか。
十数年来ヴェネツイアをテーマに作品を制作していますが、今回のコレクションはその集大成とも言えるもので、彼の地への思いを全て込めて創作に当たりました。

今回のコレクションにあたり、この冬はヴェネツイアに長期滞在し作品の案を練るのとともに、18世紀ヴェネツイア美術、フォンタナ姉妹の舞台衣装の講義を受講し、また美術館めぐりなどに多くの時間を費やしました。
それに加えて、ヴェネツイア伝統料理と
カーニバルのマスケラ(仮面)制作なども
個人的にアーテイストの方に弟子入り(?)
して学ぶことが出来ました。
特にマスケラ作りは大変伝統があり
歴史的な意味の深いもので
大変貴重な経験をすることが
出来たと喜んでいます。

また、この滞在に当たって
一般のヴェネツイアの方々の心からの親切は
忘れえぬ思い出となりました。
特にZane Venezianaのアーテイスト、
ニーニは伝統的な仮面制作の
細かい秘密の技法に至るまで隠さず教えてくれ、
ヴェネツイアの文化を愛する人々の心の
深さをも学ぶことが出来ました。
Grazie mille!! 

ヴェネツイアを愛する人々への感謝の気持ちも添えて今回のコレクション「ヴェネツイアより愛をこめて」を創作しましたので皆様も是非ご覧下さい。


さて、それらの作品の中で「ルーチェ」光の回廊のシリーズをここでご紹介致しましょう。

ヴェネツイアの町の美しさは昔から多くの詩人や旅人の賞賛するところですが、
この作品は私が冬のヴェネツイアでとても感動した情景をテーマに制作いたしました。

リアルト橋を左に行った突き当りにフォンダメンテ ヌオヴェ(新しい船着場と言う意)という
バポレット(乗り合い船)の乗り場がありますが、そこから51番のサンタルチア駅行きの船に乗ると、
船はS字の運河を通らず外海から直接駅へと向かいます。

夕暮れ時には船からヴェネツイアのまちが
夕焼けの薔薇色に染まる様子をながめることができますが、
時が過ぎるにつれてやがて日は落ち
空は青から藍に変わって行きます。

さらに海原を進み陽がすっかり落ちる頃には
航路を示す杭に明かりが点り、
船の両側に橙の光の道が浮かび上がり
水面はその光を映してきらきらと輝きだします。

その美しさはまさに夢の世界のよう――

この感動を作品にしたのがルーチェ 
光の回廊のシリーズです。
写真の作品はピンクダイヤの帯で出来ているおり、
動くたびにきらきらと揺れる優しいきらめきが
光の道と海に映る灯火の煌きを表現しています。

ジャズシンガーのマリーンが、デイナーショーの豪華なステージで披露してくれました。
私には思いで深い作品の一つです。

このルーチェ 光の回廊のシリーズのなかで
少し親しみやすいラインを
この秋に向けて製作中です。

この作品は東京12cチャンネルでも
10月31日にご紹介して下さることになりました。

ヴェネツイアの夜景とともに作品を
お楽しみいただければ幸いです。

 

2003年9月1日 水野薫子

他のコラムへ 31 30 29 28 27 26 25 24 23 22 21
20 19 18 17 16 15 14 13 12 11 10 9 8 7 6  5 4 3 2 1